社長ブログ

「 ブランディング 」 一覧

「謝罪会見」に役立つ2冊の本をご紹介します

 

blog

 

 

「コンプライアンス経営」という言葉が一般的になって随分と歳月が経ちますが・・・

 

ホテルでの偽装表示問題が次々と明るみになり・・・

とうとう百貨店にまで広がり・・・
多くの会社で謝罪会見がありました。

 

また、ネットショップでは、課題演出した店舗が
景品表示法違反の恐れ・・・

という事までおこりました。

 

これも「一種の偽装」ともいえますね。

 

 

このニュースが、広がりを見せると、
また、次々と 謝罪会見が行われるでしょう。

 

6年前の「船場吉兆の偽装問題」では、謝罪会見を行ったものの・・・

かえって世間の失笑を受けて、とうとう破産手続きにまで至りました。

 

個人の不祥事ももちろんですが、社会性のある企業の不祥事ともなれば、

その対応如何によっては

「企業生命を失う」

ことに繋がる訳です。
この「不祥事」ですが・・・

 

「うちの会社は法律違反はしていない」と思っていても
「倫理的におかしい!」と批判されたりします。

 

つまり・・・

 

「不祥事のモノサシ」というのは、
時代や環境、世情によって変わってくるものでして・・・

 

皆さんの会社が「不祥事に巻き込まれる可能性」というのは0%ではなく、
対岸の火事として笑ってばかりおれないのではないでしょうか?

 

情報化社会の中、危機におけるマスコミ対応というのは極めて重要になります。
現場での対応と同時に、マスコミ対策や記者会見は、もう一つの戦いでもある訳です。

 

 

なぜなら、マスコミ対応は、

「マスコミの先にある世間との重要なコミュニケーション」

でもあるからです。

 

 

そういった危機管理・・・

とりわけ「クライシスコミュニケーション」に役立つ
2冊の本をご紹介します。

 

1冊は、私のお師匠・佐々淳行先生の著書

わが記者会見のノウハウ―スキャンダル克服の秘訣」

です。

 

佐々先生は、いわずと知れた「国家危機管理」の第一人者で、
「危機管理」という言葉の生みの親です。

 

警視庁時代から数々の修羅場を潜り抜け、その後も警察庁や防衛庁、
内閣安全保障の分野で危機管理を多く担当されて来られ・・・

同時にそれに対する記者会見は数千回も行われた方です。

 

佐々先生とは、もう10年の師弟関係にありますが、

先生は常々

「消極的コンプライアンス」
「積極的コンプライアンス」

という言葉を口にされます。

 

日本的な「なにもしないのが一番」といった消極的コンプライアンスはダメで、
常にに「相手がある」ことが前提であって、

 

また

「コンプライアンスを“法令順守”と表現することは不十分」

「コンプライスは、英語では“応諾”という意味がある」


「コンプライアンスは組織防衛だ。組織に対するあらゆる悪い情報を
いち早く入手し、トップを中心に決断し応諾すること」

 

と、常々おっしゃいます。

 

よく、謝る側が 「法的には問題ない」 と言い、
「法的責任を果たせばOK」 と考えているけれども・・・

 

追及する側(マスコミ)は、法的責任に加えて、
道義的・社会的な責任も果たすべきだと考えている・・・

 

ということです。

 

著書の中では、

・記者会見で嘘は禁物。
・言えないことは言えないという。
・知ったかぶりは禁物。
・ミスリード的相槌を慎む。
・逃げない、待たせない。
・マスコミの締め切り時間への配慮をする。
・オフレコの活用

など書かれています。

 

もう1冊は、田中辰巳さんの著書

「それなら許す!~あなたと会社を救う謝罪術~」

です。

 

田中辰巳さんは「リクルート事件」の渦中で秘書課長、広報課長、

総務部次長、業務部長を歴任され・・・

 

このときの厳しい体験をもとに、現在は企業危機管理の専門家として活躍されています。

 

私はちょうど田中さんがリスクヘッジという企業危機管理の会社を設立されて間もない頃に、

政府系機関のセミナーで登壇された田中さんのお話を聞いたり・・・

 

その後も、金融機関のセミナーや経済団体の研究会でお話を伺う機会がありました。

 

講演やセミナーでは、後述の「社長限界でしょ」のほかに

「謝罪には“癒す”“腑に落ちる”“許される”“忘れる”4つが揃ってはじめて完結する」

と仰っていました。

 

 

著書の中では、記者会見における謝罪のあり方として

・謝意の表明
・調査結果の報告
・原因分析
・改善案の提示
・処分・賠償

の順に、説明して謝罪すすべきだと書かれています。

 

この項目の頭文字を取った『謝・調・原・改・処』をもじって

「社長限界でしょ」
と覚えればよい・・・と述べておられます。

 

また

・言い訳や反論をしない
・嘘や隠蔽をしない
・曖昧な言葉を使わない
・方向を間違えない
・遅くならない
・早とちりしない
・足並みを乱さない
・処分を怠らない

といった事も述べておられます。

 

お2人とも、事例を交えた読みやすい文章を書かれます。

時間があったら、ぜひお読み下さい。

 

経営理念が絵に描いた餅になっていませんか?

2013/10/29 | ブランディング

blog

 

 

「消費者は物ではなく物語を買っている」

「ニーズではなくウォンツ」

「how to sayよりwhat to say」

 

 

マーケッターの間では有名な言葉で、消費者の購買行動の変化についての言葉です。

 

 

昔 (・・・といっても今から14年くらい前の話ですが)

 

政府系金融機関が主催する「関西経済フォーラム」 というのがあり、
私は毎年参加していたのですが・・・

 

 

14年前に、そこで出会った  大手広告代理店
H報堂の偉い方(当時)が仰っていたのが

 

Authenticity(オーセンティシティ)
でした。

 

 

Authenticityとは直訳すると「信頼性、本物」ですが・・・

端的に言えば「決して嘘をついてはいけない」ということ

と仰っていました。

 

 

なぜなら 「嘘をつくと、一瞬にして、ブランドが地に落ちるから」
だと仰って納得した記憶があります。

 

ちょうど、そのころ 鉄壁のブランド力を誇った雪印が・・・

 

雪印乳業による雪印集団食中毒事件(2000年)と
雪印食品による雪印牛肉偽装事件(2001年~2002年)

 

を起こし・・・

見事にブランドイメージが崩れ去ったからです。

 

 

私のお師匠で
危機管理の第一人者である佐々淳行先生

から聞いた話ですが・・・

 

実は、雪印乳業は、その45年前の 昭和30年(1955年)に

「雪印八雲工場脱脂粉乳食中毒事件」というものを起していたそうです。

 

 

当時の雪印乳業は、即座に謝罪と製品回収、謝罪広告の掲載、被害者への謝罪訪問など

先手先手で対応措置を展開。

 

 

危機管理(リスクマネジメント)の対応という点では、当時の日本の企業の危機管理水準
遙かに上回る措置であったことから・・・

 

企業イメージへの打撃を最小限度に押さえたばかりか、長期的に見れば
企業イメージ向上にすら繋がったと言われているそうです。

 

佐々淳行先生が仰っていたのは・・・
当時の雪印社長であった佐藤貢さんは、「全社員に告ぐ」という文章を作り、

 

『信用を獲得するには長い年月を要し、
これを失墜するのは一瞬であり、
そして信用は金銭で買うことはできない』

 

といった旨を記し

「安全な製品を消費者に提供することこそが、雪印の社会的責任である」 

と訴え続けたそうです。

 

 

雪印乳業は、昭和後期までは『全社員に告ぐ』を新入社員に配り、

八雲工場事件の教訓を常に教え、安全な製品作りを心掛ける教育を施していた・・・

 

そうです。

 

 「(当時の)消費者は、この雪印の姿勢と物語に賛同」し、ブランド力が向上した訳です。

 

 

 

その結果、雪印グループは、乳業トップ・食品業界でも

屈指の巨大企業グループに登り詰めました。

 

しかし・・・

 

 

グループの事業規模拡大とともに、トップブランドへの驕りが生じ、
安全教育も風化していったのでしょう。。。

 

 

30年以上にわたって綿々と続けられてきた「全社員に告ぐ」の配布は、
1986年をもって中止となり・・・

 

 

2000年と2001年の事故の頃には
「全社員に告ぐ」 は完全に風化していた。。。

 

との事でした。

 

雪印のブランド失墜から14年・・・

 

 

阪急阪神ホテルズ「偽りメニュー」 がニュースになり・・・

とうとう、阪急阪神ホテルズの社長が辞任する事態にまでなりました。

 

 

阪急といえば創業者小林一三

 

 

箕面有馬電気軌道(後の阪急電鉄)の経営を基に、阪急百貨店、
宝塚温泉、宝塚歌劇団、東宝・・・と多角化を図り、

後に、商工大臣、国務大臣を歴任。

 

昭和32年にこの世を去るまで政財界で、多大な活躍をされた方です。

 

 

そんな小林一三のモットーとして有名な言葉が

「大衆のために」

「自分の計算から出発しない」

 

です。

 
「夢の経営者」という異名を持った小林一三さんのの商法は、

様々な経営者のお手本となっています。

 

 

いくつかのブログなどで紹介されていますが・・・

小林一三を語る阪急百貨店のエピソード があります

 

 

<以下引用>

百貨店の食堂で、カレーライスが大ヒットとなるも・・・

当時、学生は、カレーライスを買って食べるほどのお金がなかったので、
ライスだけ注文し、福神漬を菜にソースをライスにかけて食べるのが流行した。

中には、弁当持参でタダでソースをかけて、福神漬で食べる人まで出てきた。

食堂の係りは困り果て、カレーライスの客が食事を終えたあと、
一回一回福神漬とソースを引き上げてはどうかと提案する。

それが一三の耳に入った。

係りの意見に一三は、

「そんなケチなことをするな。学生がお金がないのは当たり前だ。
そんな学生が遠慮せず食べられるよう、ライスの値段を下げて、
福神漬でもソースでもどんどん出してやれ。」

「彼らはいつまでも学生ではないぞ」と指示した。

<以上、引用終わり>

 

  「(当時の)消費者は、この小林一三の姿勢と物語に賛同」し、ブランド力が向上した訳です。

 

しかし・・・

 

 

グループの事業規模拡大とともに、トップブランドへの驕りが生じ、
「自分の計算から出発しない精神」も風化していったのでしょう。。。

 

 

ここで、ふと

「阪急阪神の経営理念は、今どうなっているんだろう?」 

と思い、見てみました。

 

 

 

格好よく書かれていますが・・・

 

 

あの記者会見を見ると 「絵に描いた餅だよね?」

と思っていしまいますね。
経営理念は、額に飾ったり見栄をはるためのものではない

訳で・・・ 

 

 

絵に描いた餅 になるくらいなら・・・・

 

シンプルに

小林一三の魂のこもった言葉である

「大衆のために」 「自分の計算から出発しない」


のまま
にしておき、

それを徹底すれば良かったのでは?

 

 

と・・・外野席から勝手に思ってしまいました。